雷電のチチ日記

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イナバウアーなぜ流行る

なぜ「荒川といえばイナバウアー」になったのか。
荒川静香の得意技が「イナバウアー」であることは、もはや共通認識であるかのようだ。オリンピックでの演技でも、プレイバックされるのはジャンプの場面よりイナバウアー。スピンじゃなくてイナバウアー。五輪後のイベントでも、やっぱり放映されるのはイナバウアー。「イナバウアーは現在の競技採点ルールでは技術点にならないのです」という知識も、たぶん広く知られている。「スケート教室でもみんながイナバウアーをやりたがります」なんて話題も「微笑ましいニュース」として流れる。ええ、確かに荒川静香イナバウアーやってるとこは美しい。


しかしなぜ「荒川といえばイナバウアー」になったのだろうか。
はてなでもキーワードになったのは今年の2月23日と新語扱いである。というかこの日はトリノ五輪フリーの日だったりする。その時までこの技はキーワードとして認識されてなかったわけだ。
2年前に荒川選手は世界選手権で優勝しているけれども、その時得意技はイナバウアー云々ということが話題に上った記憶がない。
それでこれが今年の1月に発売された荒川選手のDVDである。
荒川静香 Moment ~Beautiful skating~ [DVD]
ジャケットはイナバウアーじゃない。いやまあイナバウアーでなければならない理由もないが。


イナバウアーという言葉が目立ち始めたのは、今年の日本選手権、それからオリンピック出場選手決定の頃からだろうか。荒川選手がトリノ五輪における日本フィギュアスケートのエース格的扱いを受け出した頃である*1。前景気を煽るテレビ番組などで「荒川のイナバウアーはすごいんだよ。ステップでもスパイラルでもないから得点にはならないけど、それでもあえて彼女はやるんだよ」という情報に接したのはこれ以降だったような。

なーんとなく、前評判はスルツカヤ、コーエンに続く三番手グループで金or銀メダルの可能性が低いと見た協会かテレビ局が、「技術では及ばないかも知れないけど彼女は美を追求した演技をしたんだよ。心の金メダルは彼女にあげたい」と言い訳?をするためのキャンペーンだったのかなという気がするのだがこれは穿ちすぎか? まあしかしどんな思惑があったにせよなかったにせよ、荒川選手の演技(とイナバウアー)は金メダルを獲得したのだった。
とにかく、もうすっかり「荒川=イナバウアー」という等式が我々に刷り込まれてしまった。その洗脳テクニックは見事と言うしかないだろう。


(読み返してみて、さすがになんかすごい妄想入ってるなと思った)

*1:もっとも、オリンピック開幕前は日本のメダル獲得予想も楽観的なものが多く、荒川は「たくさんいるメダル候補の一人」という扱いだったが