雷電のチチ日記

二千円札を最後に見かけたのはいつだったろう./最近はTwitterでつぶやいてることが多いかも/はてなダイアリーから移ってきました since 2005

頼みもしないのに送られてくる

文芸評論家の斎藤美奈子が以前白水社のサイトに掲載していた文章がある。現在はもう読めなくなっている*1のでちょっと引用。彼女クラスになると頼みもしないのに本がガンガン送られてくるらしい。自宅が本に埋もれて、冷蔵庫の扉が開かなくなったという話の続き。

 自分で買った本なら、それでも自業自得とあきらめがつく。自分で買う本のほかに、私の場合、本は外から送られてくるのである。毎日毎日、3冊、5冊と頼みもしない本が郵便受けにたまり、宅配便で届く苦痛が想像できるだろうか。
  出版社から送られてくる本には、短冊と呼ばれる小さな紙切れが入っている。一番レートが高いのが「著者謹呈」で、これは著者が自ら買い取った本を送ってくれた証拠。本当ならば礼状を書かなければならないところである。次が出版社名が書かれた「謹呈 ○○社」。出版社の好意で送ってくれた印である。一番レートが低いのは「乞御高評」。「よかったら書評をしてくれ」の意味である。
 出版社の皆様にお伝えしておきたい。「乞御高評」の短冊は逆効果ですよ。この短冊を見ると「絶対高評してやんない」という気分になる。ただでさえ本に押しつぶされているのに、これ以上、下心で本を送ってこないで!

彼女はとうとう、出版社から送られてくる本はすべて「受取拒否」して送り返すことにしたらしい。要る本は自分で買うから。最近、「ウェブ人間論 (新潮新書)」の書評したブログ記事をよく見かけるので思い出した。もちろんこの本の書評をしている人のもとには「著者謹呈」、つまり著者自らが買い取ったという扱いで届いているのだろうけれども、捨てちゃった人もいるだろうか。

*1:現在は http://www.hakusuisha.co.jp/essay/2006/05/24.html で読める。なお、下の引用部は初出時のもので、その後若干文章が改訂されて、リンク先で読めるものとは微妙に表現が異なっている。以上追記