雷電のチチ日記

二千円札を最後に見かけたのはいつだったろう./最近はTwitterでつぶやいてることが多いかも/はてなダイアリーから移ってきました since 2005

広島市民球場ちょっといい話

「ちょっと便所に行ってくるでのう」
昭和25年、広島市民球場ではそんな合言葉があった。合言葉の主は税務官。球場に税務官とは場違いな感じがするが、実は当時は入場者のチェックのために、税務署が球場に担当者を派遣していた。
球場の入り口は一カ所。担当官が入場券の半券を回収していた。入場料には税金が含まれているからである。通常は一人が回収、一人が休憩するのだが、ある時間になると二人揃っていなくなる。冒頭のセリフを残して、である。
それを確かめると球団職員が半券の一部を抜き取る。入場者数を実際より少なくするためである。戻ってきた担当者は半券が少なくなっているのには当然気が付く。それでも見て見ぬふりをする。球団の収入を少しでも増やしてやろうという親心からである。それほど球団創立当時の広島はカネがなかった。
もっとも一度はあまりにたくさん抜き過ぎて、
「さすがに今回はちょっとひどすぎますのう」
と言われこっそり取り過ぎた分を戻した。
(略)ちなみに当時のカープの後援会会長、球団顧問は池田勇人蔵相。大蔵省の所轄の税務署ににらみは利く。実際、池田蔵相がこうした事実を知っていたかどうかは不明だが、だれか知恵者が池田蔵相を引っ張りだしたのは間違いない。
広島というと、市民が資金をカンパしたタル募金が有名だが、税務署も一役買っていたのである。

夕刊紙の記事より。28日で公式戦が終了した広島市民球場、オープンした頃の話だそうである。市民球団を官民一体となって応援する(手法には若干の問題があるが)。いい時代でしたね。