雷電のチチ日記

二千円札を最後に見かけたのはいつだったろう./最近はTwitterでつぶやいてることが多いかも/はてなダイアリーから移ってきました since 2005

争点の「恥ずかしさ」について

田中良紹「ジャズ・ツアーで参院選を考える」
国会TVの人が、台風と地震が来た選挙期間中にジャズツアーに同行して東北北海道を旅したの記。一体どこで選挙が行われているのかと思うほど選挙カーに会わず、唯一見かけたのは北海道・羽柴誠三候補の車だけだったことや街中で見かける政党ポスターの印象など淡々とした筆致で書かれているのが面白い。中でも印象に残ったのは安倍総理について書かれたこの部分。

 7月20日(金)、釧路湿原を横断して帯広へ。「ランチョ・エルパソ」というレストランでのサマー・クリスマス・パーティ。主催者の社長は唯一帯広に残された「ばんえい競馬」を存続させるために何か知恵を貸して欲しいと言う。そして選挙の話になると「安倍さんは何でああなの。何でも強行し過ぎだよねえ。理解ができない」と言った。
 私はテレビのニュースで安倍総理が拳を振り上げて演説する様を見て、何であんなに力を込めるのか不思議に思っていた。力を込めるのが似合う人と似合わない人がいる。安倍総理は全く似合わない。この人は「誠実にまじめに仕事をします」と言って、力んだりせずに淡々と話すのが最も似合っている。野党を批判するのもやらない方がいい。小泉前総理は野党よりも自民党を批判したから人気があった。野党を批判して喝采を送るのは根っからの自民党支持者だけで、無党派は離れていくだけだ。何故票を減らすようなことをするのかが分からない。そしてもっといけないのは「勝たせてください」などと国民にお願いをすることだ。まさに自らを負け犬にしてしまっている。国民は哀願するような総理に国政を任せる気にはならないものだ。
 これまで安倍内閣の支持率を下げさせたのは、安倍総理自身の問題ではないと言われてきた。しかしここにきて国民が疑問を感じているのは安倍総理自身の資質に対してではないだろうか。選挙公示後各地を回ってみて、人は直接口にはしないが、とても冷ややかな目で安倍政権を見ているのが分かる。それが民主党への支持に直結するかどうか、それが最大のポイントだが、安倍総理が民主党を批判すればするほど、力めば力むほど民主党への支持が増えることになると思う。歯車はそのように動いている。何かとてつもないことでも起こらない限り、歯車の向きは変わらない。

最近、ある新聞で「年金や醜聞を争点にしてはならない、政権の政策(=戦後レジーム云々とか、これまで成立させた法律(…強行採決が多いけど)とかそういうもの)を正当に評価すべきだ」というコラムが連載されている。いや本来ならば全くその通りなのである。しかしなぜ「年金やスキャンダル」が争点となってしまったかといえば、この問題への政府の対応の拙さが、上引用にあるような「資質」に大いに疑問を持たせているからではないだろうか。
「総理の資質」。本来こんなことは、選挙の争点になどなり得ない。なぜならば、総理に選出される以前の段階で、政権与党で人材豊富(なんでしょ?)な自民党が総裁を選ぶときに「資質」の問題など当然クリアされていてしかるべきだからだ。資質に欠ける人物は総裁選の段階でふるい落とされているはずだからだ。総理大臣にその資質があることなど大前提であり、その上で政策論争がなされるべきだからだ。
自公政権がすすめる政策に対してはもちろんさまざまな立場からの賛否があろうけれども、少なくとも「総理大臣を務めることになる党総裁にはそれなりの資質と見識を持った人物を自民党も立てているだろう」くらいの(総裁の選出システムに対する)信用は、いくら自民党を批判する人であっても持っているはず、いや持っていたはずである。
現在の安倍自民党総裁は、「彼こそが小泉総裁の後継にふさわしい」として圧倒的多数の支持を党内選挙で受けて就任した。あのとき立候補していた麻生氏や谷垣氏よりも「資質」が上回っているかはともかく、少なくとも基準ラインはクリアしている、と自民党の政治家達が判断した結果だろう。
その判断が正しかったのかという「政策論争に入る以前の問題」を年金問題やスキャンダルに託して国政選挙で問わねばならないのだとしたら、それこそが本当に「恥」なのだと思う。

補足

以上の文は、「政権与党が敗北を喫する」という選挙予測の通りの結果になると仮定して書いた。「奇跡の大逆転!」が起こればまったく間抜けなことになってしまう。
選挙結果なんて蓋を開けてみないと分からない。選挙は長丁場のリーグ戦じゃなくて投票日一発勝負。今報道されている「最終盤の予想」というのも、リーグ戦終盤になって首位との差が開いてきた、というんじゃなく、戦力分析を進めて当日の試合ではどうも差がつきそうだというだけのものだから。実際の試合では今岡が2打席連続で満塁ホームランを打つかも知れないし、柳沢がハットトリックをするかも知れない。さてどうなるかな。
しかし投票前からこんなに「負けムード」が漂っている選挙は近年見たことがない。何かの罠じゃなかろうかと勘ぐりさえしてしまう。

もうひとつ

「ある新聞」とは産経のことですが。2年前の総選挙では朝日とかが「郵政目くらまし選挙」だと嘆いて、今回は産経が「何たる選挙戦」と嘆く。わかりやすい図式である。ただ産経は投票日前にぼやいている。選挙中にこんなこと紙面に書くとは日刊ゲンダイ並だな。

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