雷電のチチ日記

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新型インフルエンザ対策で大事なこと(だそうです)

JMMは5月6日付で、『絶望の中の希望〜現場からの医療改革レポート』第30回として、
上昌広氏(東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門:客員准教授)による「新型インフルエンザ対策を考える 〜検疫よりも国内体制の整備を!」を配信した。全文はたぶん来週あたりにWebで読めるようになるはずだが、一部のみ抜粋してみる。「遂に日本でも感染者、空港で発見」というニュースが駆け巡るなか、読んでおく価値はあると思う。
とりあえず私は帰宅時のうがいと手洗いは忘れないようにしたい。って、今までもずっとやってるけど。

  • 水際対策は本当に有効か?
    • 潜伏期間は最長10日間。空港に着いた時に症状がなければ、どんなに検疫を強化しても発見できませんから、すり抜けて国内に入っていることになります。厚労省が主張する検疫強化によって水際で食い止める考え方は、医学的には妥当ではありません。
    • 厚労省は乗客の体温を検知するサーモグラフィーを大量に整備しました。しかしながら、サーモグラフィーでの有症者発見率は0.02%*1すなわち1000人に2人で、99.8%はすり抜けます。サーモグラフィーは意味がないことは、SARSの際の経験からも知られています。一方、サーモグラフィーの価格は1台約300万円です。費用対効果が極めて悪い投資です。
  • 専門家がリードする世界のインフルエンザ対策
    • 実は、世界中で検疫を強化しているのは、日本や中国などごくわずかです。
    • WHOは、警報レベルをフェーズ4に引き上げた当初から、水際対策も検疫も無効として推奨していません。SARSの際の経験からも、検疫が無効であることを学んだと述べています。
    • 世界の新型インフルエンザ対策は高度なトレーニングを受けた専門家のネットワークによって推し進められています。この点、現場経験が皆無で、さまざまな担当分野をローテーションする医系技官が主導する日本の姿は異様です。
  • 国内メディアの報道
    • 基本的に厚労省が推進する検疫強化を、そのまま報道しています。おそらく厚労省から記者クラブに提供された資料をそのまま掲載しているのでしょう。しかしながら、今回の騒動では、一部の新聞の記事はかなり正確です。
  • 本当に必要なのは国内の医療整備
    • 新型インフルエンザ対策のポイントは、流行を最小限にくい止めること、および新型インフルエンザ感染に弱い人を守ることです。常識的に考えれば、日本にも新型インフルエンザは入ってくるでしょう。わが国の緊急の課題は、医療現場に新型インフルエンザの可能性がある人が大量に押し寄せても対応できる体制を整えることです。その場合、問題は病院の体制整備です。
  • 我が国は感染症後進国
    • わが国の病院の感染症体制はかなり貧弱です。戦後の復興期ならいざ知らず、すでに過去のものと皆さんが考えているような結核、はしか(麻疹)といった感染症も、他の先進国よりも遙かに多いのです。
    • 日本では感染症対策の専門家も少なく、院内の隔離設備がない病院がほとんどです。
    • 医療者がどんなに頑張っても、感染拡大を防ぐことはできません。日本の多くの病院では「隔離」したくてもできる設備がないため、感染に弱い他の患者を守ることさえできないのです。
    • 新型インフルエンザ対策としてまず必要なことは、病院で隔離する設備を整えることと、病院に押し寄せる人々を新型インフルエンザか否か振り分けるスタッフの増員することです。新型インフルエンザか否か振り分ける人員を増やして初めて、従来の医療つまり感染に弱い他の患者たちの医療を続けることができるのです。この対応は即座にすべきです。そして、検疫に振り分ける人的・経済的資源は、すべてのこちらに向けるべきでしょう。
  • 本末転倒の検疫強化
    • ところが厚労省は、ゴールデンウィークの帰国ラッシュの検疫のため、現に診療にあたっている医療機関の医師・看護師に検疫させようとしました。
    • 病院の体制を強化し、準備を整えなければならない今、病院で診療を行っている医師・看護師を、診療から引きはがすのでは本末転倒です。
    • 本来、厚労省がすべきことは、国立国際医療センターのJICAの待機医師・看護師や、国立研究所など、診療に従事していない医師・看護師を、発熱外来へ応援に行かせることを、不安を抱えている医療機関に約束することです。
  • 名ばかりの発熱外来
    • 感染を広げないための基本は「隔離」です。感染したら死ぬ確率の高い他の患者を守るために、他の患者と接しないように、個室に入ってもらわなければなりません。ところが、外来に、他の患者と接しない個室や陰圧室を持っている病院は日本では非常に少ないのです。
  • 厚労省は即座に予算を確保せよ
    • 厚労省は、「発熱外来の整備は都道府県の役割であり、国としての補助等は現時点では考えていない」(同省健康局結核感染症課)と言っています。私は、この発言を聞いてあきれ果てました。これは、行政の責任を完全に放棄していることを意味するからです。

日本でどうして「検疫偏重」の対策になっているかというと、そこにはうんざりするような理由(要は「役所の(ry」)が書かれているのですが、詳細は記事が公開されてからということで。(その時にはリンクを張ります)

*1:原文ママ(引用者注)

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