チャルメラの正体見たり
夜になると時々、マンションの前の道を屋台のラーメン屋が通る。チャルメラのメロディーをスピーカーから流しながらである。
知らない人にはなんとなく不気味さも感じさせるチャルメラが息子は大嫌いで、音が聞こえてくると「ラーメンやさん来た〜」とべそをかく。ちょうど寝る頃によくやってくるので、せっかく寝かかっていたのに泣き出して大変だった。
それがこの前、外出からの帰りが遅くなって、ちょうど息子が家に入るときにラーメン屋がメロディーを流しながらやって来た。屋台は小型のトラックで、間近を通ったためいつもより大音量で息子は余計に怖がっていたが、正体がトラックと分かったら「あれトラックだったねー」と急に怖くなくなったみたい(自動車のたぐいは大好きなのだ)。それからは「ラーメンやさんのトラック来るかな〜」とずっと言っている。ほんの少し前までは怖かったものが、今では待ち遠しいようだ。
泣かなくなったのはよいのだけど、チャルメラの音が聞こえると「トラックみる!」とマンションのバルコニーに出せとせがむ。これから夜は寒くなるのに、困ったことである。