雷電のチチ日記

二千円札を最後に見かけたのはいつだったろう./最近はTwitterでつぶやいてることが多いかも/はてなダイアリーから移ってきました since 2005

略奪されたものは取り返すべき」?

「流出文化財」落札者は中国人「支払い拒否」を表明
アヘン戦争時に英仏軍が清朝から略奪した十二支像(のうち2つ)がイブサンローラン氏のコレクションにあり、それがオークションにかけられ、中国人が2800万ユーロで落札。しかし落札者は「中国から略奪されたものを取り返しただけだ。金は払わん」と表明。なんだかややこしくなっている。

これに関連したふるまいよしこ氏(JMM)のエッセイがなかなか興味深かった。なお配信されたのはオークションが行われる数日前である。
[JMM]「文化のスピリット」大陸の風−現地メディアに見る中国社会/ふるまいよしこ

  • この像が最初にオークションに出てきたのは1985年で、その時ついた値段は500ドル
  • オークションに出品されると分かった後も、中国政府は返還要求に消極的だった
  • 中国の「愛国弁護士」さんがフランスで訴訟を起こしたが、ネタをまったく揃えることができず却下
  • たとえば、同じく海外流出文物の多いエジプトは、調査・回収する機関が政府に設けられている。中国にはそれがない。対応が後手後手に回った。「愛国!」の思いを吹き上がらすだけでは実効がない
  • 過去にこの像を買い戻して中国に寄贈したのはマカオの「カジノ王」で、中国政府とずっと仲が悪かった。下心ありありの寄贈だったが今では「愛国商人」扱い
  • 先に戻ってきた5つの像はいまはいったいどこにあるのだろう

などなど。「へー」とうなることがいっぱい。

 ただ、中国がこの経験をどうやって「恥辱」の記憶とともに冷静に振り返り、今後西洋社会と付き合いながら、「かつて略奪された国」の思いを先進国に理解させ、「文物は一国のものではない。世界のものだ」などとうそぶくそれらの国々を説き伏せていくか――なんとなく、中国がそんなスピリットを発揮して国際社会を納得させる日はそれほど遠くはないのではないか、と感じている。
 もちろん、そのときには中国は自国にある他国の文物の意味についても考える必要に迫られるだろうが。

というわけで
中国政府、“流出文化財”の落札者「払わない」で困惑
中国政府は思いもよらぬ展開になって困っているのかも。